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塩ビ鋼板塗装におけるブリード現象とは?原因と対策を解説

塩ビ鋼板は、その耐候性から建築外装材として広く用いられています。
しかし、塗装工事においては特有の課題が存在します。
特に、塗装後の塗膜の劣化や機能低下に繋がるブリード現象は、施工業者にとって大きな悩みの種と言えるでしょう。
適切な対策を講じなければ、再塗装が必要になるケースも少なくありません。
そこで、今回は塩ビ鋼板塗装におけるブリード現象のメカニズムと、その完全防止策について解説します。

塩ビ鋼板塗装のブリード現象

ブリード現象のメカニズム

塩ビ鋼板は、亜鉛メッキ鋼板などに軟質塩化ビニル樹脂をコーティングした建材です。
この軟質塩化ビニル樹脂には、柔軟性を保つための可塑剤が多く含まれています。
一般的な弱溶剤塗料を使用すると、この可塑剤が塗料に溶け出し、塗膜表面に浮き上がってきます。
これがブリード現象です。
可塑剤は塗膜表面に粘着性を与え、汚れが付きやすくなったり、塗膜の劣化を早める原因となります。

ブリード現象の発生原因

ブリード現象の主な原因は、下塗り材の選定ミスと不適切な施工です。
塩ビ鋼板専用のプライマーを使用せず、一般的な弱溶剤系の塗料を使用すると、可塑剤の溶出が促進されます。
また、下塗り材の乾燥不足や、塗布量の不足もブリード現象を引き起こす要因となります。
さらに、下地処理が不十分な場合、塩ビ鋼板の表面に汚れや油分が残っており、塗料との密着性を阻害し、ブリード現象を招く可能性があります。

ブリード現象の事前対策

ブリード現象を防ぐためには、適切な下地処理と、塩ビ鋼板専用のプライマーを使用することが不可欠です。
下地処理では、塩ビ鋼板表面の汚れや油分を完全に除去します。
そして、塩ビ鋼板専用のプライマーは、可塑剤の溶出を抑制する効果があります。
プライマーは、主剤と硬化剤を混合し、ウレタンシンナーで希釈して使用する2液硬化型塗料が一般的です。
錆止め効果は期待できないため、錆が発生している場合は、事前に錆止め塗料を塗布する必要があります。

塩ビ鋼板塗装の適切な下塗り

鋼板への下塗り材の役割

下塗り材は、単に仕上げ塗料の密着性を高めるだけでなく、塩ビ鋼板から溶け出す可塑剤を封じ込めるバリアの役割を果たします。
適切な下塗り材を選択することで、ブリード現象を効果的に抑制し、塗膜の耐久性を向上させることができます。
また、下塗り材は、仕上げ塗料の吸い込みを抑え、均一な仕上がりを実現します。

下塗り材の選定基準

塩ビ鋼板塗装用の下塗り材を選ぶ際には、可塑剤の溶出を抑制する効果と、塩ビ鋼板との高い密着性を確認することが重要です。
製品の仕様書をよく確認し、塩ビ鋼板への適用性を確認しましょう。
また、使用する仕上げ塗料との相性を考慮する必要もあります。
強溶剤系のプライマーを使用することで、可塑剤の溶出をより効果的に抑制できます。

下塗り材の施工方法

下塗り材の施工は、刷毛、ローラー、エアレススプレーなど、様々な方法で行うことができます。
均一な塗膜を確保するために、適切な塗布量と乾燥時間を守ることが大切です。
乾燥不足はブリード現象の原因となるため、メーカー指定の乾燥時間以上を確保しましょう。
また、重ね塗りを行う際には、前の塗膜が完全に乾燥していることを確認してから行う必要があります。

塗装工程における注意点

塩ビ鋼板塗装では、下地処理、下塗り、中塗り、上塗りの各工程において、細心の注意を払う必要があります。
特に、下塗り工程はブリード現象の防止において最も重要な工程です。
施工前に、塩ビ鋼板の材質や状態を確認し、適切な施工方法を選択することが重要です。
また、施工後は、塗膜の乾燥状態を確認し、必要に応じて追加の処理を行う必要があります。

まとめ

塩ビ鋼板塗装におけるブリード現象は、可塑剤の溶出が原因で発生します。
これを防ぐには、塩ビ鋼板専用のプライマーを使用し、適切な下地処理と施工方法を厳守することが不可欠です。
下塗り材の選定基準は、可塑剤の溶出抑制効果と塩ビ鋼板への密着性です。
施工工程における注意点としては、各工程の乾燥時間を十分に確保し、均一な塗膜を形成することが重要です。
これらの点を注意深く実践することで、塩ビ鋼板塗装におけるブリード現象の完全防止に繋がるでしょう。
適切な知識と技術、そして高品質な材料選択が、長持ちする美しい仕上がりを実現します。

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